代表としてのレースはこれで最後だという、
そういう意気込みがレースにどう影響するか?
そんな気分で観ていた世界陸上マラソン男子である
トラブルに見舞われながらもがむしゃらに走り切った川内は
順位について詫びながらも
順位以上の満足を得たようである
ひょっとすると『最後のレース』と言った時点ですでに日本の代表ではないのかもしれない
『最後のレース』というのは誰のものでもない、
その人本人のものなのだろうから
そんな川内の涙と対照的な涙があった
同じくマラソン代表の井上大仁だ
不甲斐なさ、実力不足を淡々と語るその目から
不意に一筋の涙が流れた
表情も崩さず、思わずこぼれた涙のようだった
これほど悔しそうな涙はあまり見ない
スポーツにドラマ性を求めがちな私としては
この涙が何かの始まりのような気がしてならない